結成20周年を迎えたKEMURIが東名阪で
ビッグ・スカンキン・パーティーを開催! 
音楽と友情とピースルフルな空気に満ちた
その東京公演をレポート!!

SKA BRAVO TOUR 2015
September 27 , 2015 at Shinkiba Studio Coast, Tokyo

新木場駅で下りて、会場に向かう道々、缶ビールあるいは缶チューハイを飲みながら…という人がずいぶんと多いなと思っていたら、入場を待つ人たちでごった返した会場の前は、すでにアルコールの匂いがうっすらと漂い、この日、新木場スタジオコーストに集ったやんちゃな連中が盛り上がる気満々であることがわかった。

それもそのはず。KEMURIの結成20周年を祝うために彼らと親交が深いSKANKIN’ PIKLE、LESS THAN JAKE、REEL BIG FISHの3バンドがわざわざアメリカからやってきてくれたんだから、誰だってとことん楽しもうと思うに決まっている。うーん、仕事で来ている俺も飲みたくなるではないか。空気は乾燥しているし、喉も乾いている。ここでビールをグビグビグビッと一気に飲み干したらさぞかしうまいだろうね!

そう思った筆者がその後、ハイネケンでこっそり乾杯したかしなかったか、そんなどうでもいいことはさておき、気がつけばスカパンク・シーンをリードした豪華なメンツが顔を揃えたスカパンクのフェスティバルと言ってもいいイベントになっていた今回のSKA BRAVO。日米4バンドの競演は各バンドの熱演もさることながら、一口にスカパンクとは言っても、バンドによってその表現のしかたがそれぞれに違うということを改めて思い出しながら、その違いも含め、楽しむことができる、とても見ごたえあるイベントだった。

たとえば、今回のSKA BRAVOのために19年ぶりに再結成したマイク・パーク(vo, sax)率いるSKANKIN’ PICKLEは、マイクが右足をケガしていたにもかかわらず、ハードコアの影響が色濃い轟音のサウンドとともに一度走り出したら止まらない暴走ぶりと杖を放り投げ、足を引きずりながら暴れまわるマイクの熱演で客席を大いに沸かせ、露払いの役目を見事果たした(KEMURIがかつてカヴァーした“Pabu Boy”ではKEMURIのメンバーが飛び入り!)。

そんなSKANKIN’ PICKLEとは対照的に、2年ぶりに日本にやってきたLESS THAN JAKEは歯切れのいい演奏によって、それぞれの楽器の出音をぱきっと際立たせながら、スカパンクとロックを股にかけるバンドの姿をダイナミックにアピール。観客はそんな彼らにモッシュとサークルピットで応えたのだった。

そして、12年ぶりの来日となるREEL BIG FISHは軽快なスカパンク・ナンバーでモッシュを誘いながら勢いだけに頼らず、オールディーズ風だったりメロウだったりする曲も交え、前の2バンドとは全然違うバンドの個性を印象づけた。因みにREEL BIG FISHと言えば、a-haの“Take On Me”のスカパンク・カヴァーが有名だが、アレンジを変えながら同じ曲を何度も演奏するという持ちネタで客席を散々笑わせ、楽しませてから、最後の最後に投下した“Take On Me”が格別盛り上がったことは言うまでもない。

開演から3時間。GUNS N’ ROSES“Welcome To The Jungle”のが流れる中、照明が消え、客席から「うわーーーーー!!!!」という歓声が沸き起こる。本日の主役、KEMURIを大歓迎する客席に向かって、伊藤ふみお(vo)が「準備いいっすか? さぁ始めよう!」と声をかけ、“New Generation”で演奏はスタートした。あっという間にモッシュ状態になる客席。しかし、伊藤が客席に耳を傾けると、モッシュの中からちゃんとシンガロングの声が上がるところが素晴らしい。

「やばい。最高だ!」と伊藤が思わず一言。バンドはさらにスカパンク、メロコア・ナンバーを織り交ぜながら曲をたたみかけ、観客がシンガロング、モッシュ、ツーステップで応えると、場内の温度はぐんぐんと上がっていった。

中盤、レゲエのインスト・ナンバー“Sun Set”では、4バンドのホーン隊によるSKA BRAVOならではの共演が実現し、総勢13人が順々に回していったソロに観客は拍手喝采。その“Sun Set”を含め、“New Generation”からダブル・アンコールの“白いばら”まで、この日、演奏した全17曲中16曲が共演の3バンドと出会った頃を偲ぶという意味を込め、1stアルバムおよび2ndアルバムからの曲だったにもかかわらず、終始、熱かった客席の反応からはKEMURIを支えているのは熱心なファンばかりだということが窺えた。

「ありがとう。ありがとうしか思いつかないけど、でも、ありがとう」

代表曲中の代表曲と言える“PMA (Positive Mental Attitude)”を歌いおわると、伊藤は笑顔とピースフルな空気に満ちたイベントになったことに感謝の言葉を述べたが、そういうイベントになったのは、自らピースフルなヴァイブを放ちつづけていた伊藤のパーソナリティーによるところも大きかったんじゃないか、とエネルギッシュなパフォーマンスとは裏腹に、優しさのこもったていねいな言葉遣いで客席に話しかける彼を見ながら思ったが、共演3バンドがアメリカから駆け付けたのはやはりそんな人柄に惹かれたからだろう。アンコールでは、この日、38歳になったLESS THAN JAKEのクリスのために“Birthday”を披露した。

音楽と友情で絆を結んだ4組がそれぞれに熱演を繰り広げた4時間。音楽を本当に愛する人間にとっては理想と言うか夢にあふれた時間になった。そりゃあビールがいつもよりもうまかったわけだ。


text by Tomoo Yamaguchi
photography by Toshikazu Oguruma


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