10-FEETをゲストに、バンドの底力、そしてさらなる可能性を
示したツアー・ファイナルを徹底レポート

G-FREAK FACTORY
March 29th, 2014 at shibuya eggman, Tokyo

昨年8月に約9年ぶりとなるニュー・アルバム『S.O.S』をリリースし、シーン最前線
への復帰を強く印象づけたG-FREAK FACTORY。その後、全国各地で「G-FREAK
FACTORY“S.O.S”TOUR 2013-2014」を展開。そのファイナルとなるsibuya eg-
gman公演が3月29日に行われ、約7ヵ月に及ぶツアーは場内のポジティヴな一
体感とともに濃密に締めくくられた。

この日、ゲストとして露払いを務めたのは10-FEET。特にTAKUMA(vo,g)は陰とな
り日向となって『S.O.S』の制作過程に関わっているが、盟友としてツアー・ファイナ
ルに華を添えるあたりも粋だと言える。
とはいえ、バンドは前半からアグレッシヴに飛ばすと同時に、飄々とどこかおちゃら
け(?)モード。冒頭からイントロを間違えたTAKUMAが言い訳として「逆光で見えへ
ん」と言ってみたり、最後のかけ声が合わずに「今日はしょこたん(なぜ中川翔子?)
でやってみようや」とさらにグダグダになったり。さらにはG-FREAKの原田季征(g)
が小学生時代に鼻に詰まった豆が取れなくなり、病院で大変な事態に発展したエ
ピソードをとうとうと…。
その一方では「作詞、作曲、パフォーマンスとG-FREAKに憧れ、影響されてきた」
「G-FREAKが10-FEETの一部だと言えるぐらい好きです」と、熱っぽいTAKUMA。
30分強とコンパクトなライヴだったが、G-FREAKに対する思いが滲み、オーディ
エンスもそんな彼らに激しく共鳴。最後もオチのように「しょこたん!」で締めくくられ、
亜熱帯地方にでも来たかのような空気の中、場内はG-FREAKの登場を待った。

G-FREAKのステージは、メンバーによるセッティングの終了とともにそのまま暗転
してスタート。熱狂的な歓声と手拍子が起きる中、原田は“大地の勇者たち”のイン
トロを弾きはじめた。そして原田、吉橋“Yossy”伸之(b)、家坂清太郎(ds)が向き合う
と、それぞれのエモーションが交錯しての根源的なロック・ダイナミズムが、早くも心
に揺さぶりをかけてくる。『S.O.S』にシークレット収録された例の「ぼやき」をインサー
トするあたりも心憎く、その後はスペイシーなベクトルへと躍動的に展開。ねっとりと
した場内の空気に濃密さを加え、こちらの気負い立つエモーションを加速させた。

筆者は近々、昨年6月の“RE-PRAY”TOUR 2013、今年2月のイベントpre-Grind-
House jamboree Vol.2でG-FREAKのパフォーマンスに触れているが、この日も
彼らはさらなるポテンシャルを見せつけてくれた。時に荒ぶるライオンを彷彿とさせ、
その言動に生き様が滲む茂木洋晃(vo)。上手サイドで長い髪を振り乱しながらな情
感をフレーズにこめる原田。坊主頭にイメチェンし、全身でベースを弾く吉橋。そして
多彩なビートを叩き出し、バンドの屋台骨を支える家坂。特に2月のイベント出演時
では短いセットに凝縮した個々、さらにはバンドのエモーションが印象的だったが、ツ
アー最終日はもっと軽快に変幻自在。もちろんそこにはこの日に至るまでの喜怒哀
楽やドラマが息づき、各曲をより饒舌に響かせた。
“Unscramble”では早くもステージ前に人の土石流が発生。その後もバンドとオー
ディエンスそれぞれのエモーションが強く反応し、場内をポジティヴなヴァイブが包
んだ。茂木は「ここでチーズになって溶けるまでやる。あっという間に時間は過ぎて
いくからかかってきなさい!」とも。“sore-nari”では含蓄のあるレゲエ・グルーヴで場
内を揺らしたかと思うと、怒濤の勢いでハードコア・パートへと展開。こちらとしては
圧倒的な緩急の妙に翻弄されるしかなかった。

ジャムからの“日はまだ高く”では茂木に「群馬の仲間」と紹介され、鴨居哲也(Key)、
飯川賢(tp)がゲスト参加。特に鴨居は元メンバーであり、吉橋と笑顔を交わす姿は
筆者としても感慨深かった。加えて同曲では10-FEETの“hammer ska”の一節を織
り交ぜたり、フリー・スタイルで場内とコール&レスポンス。さらには観客全員をいっ
たん座らせ、「飛べ!」のかけ声とともに一気にジャンプさせる場面も。フロアは笑顔
で溢れ、「ワン・タイム」「トゥー・タイムス」と茂木の音頭による手拍子でも心を共鳴さ
せた。

“日はまだ高く”の一体感を引き継ぐとともに、バック陣のかけ合いがスリリングだった
のは“SOUL CONNECTION”。「俺たちはまだまだ終わりじゃない」と改めての決意
が胸に染み入る“隠り唄(コモリウタ)”。茂木の語りも後半に向かって熱気を帯び、こ
のツアーで思ったこと、世の中を見回して感じたことを早口でまくしたてていく。いわ
く「何か行動を起こした者は非力ではあるかもしれないが、決して無力ではない」。そ
の言葉には近年の活動に対する自負が息づき、こちらを力強く鼓舞した。
“DAYS”“DUB IN FIRE”“CHANGE THE DRIVER”…やはりこの日も、圧巻はジャム
からの“島生民”だった。茂木はデタラメだらけの世界に対して「今こそ日本は立ち上が
るべき。まずは自分の身の回りから」と語り、その後もわき上がってくる思いをまっす
ぐに投げかけてくる。心の根っこの部分に響く魂の言葉の数々。そんな茂木と呼応す
るようにバック陣のプレイも本能のままに熱気を帯び、ロックとは根本的に何なのかを
見せつけたとも言える。
「この景色を忘れません。生意気ばかり言ってるけど、音楽やバンドで自分の中のモ
ヤモヤしたものがなくなることはないんだよね。でも、お互いのモヤモヤしたものをま
たぶつけ合い、面白いことやろうや」と茂木。本編ラストは“EVEN”だ。“島生民”の余韻
が残る中、パーソナルな呟きが優しく心をかき鳴らし、観客も手を左右に振って合唱。
吉橋の目にも光るものが見えた気がした。

そしてアンコールは“風”“Dirty Hearty Party”。吉橋、さらには茂木もフロアに飛び込み、
カオス状態で終わりかと思いきや、さらにスペシャルなエンディングが用意されていた。
飯川がトランペットで10-FEETのSEでもある“交響組曲ドラゴンクエストIII そして伝説
へ”を吹き、ダブル・アンコールは9人での“日はまた高く”。1つの椅子に座ってドラムを
叩こうとする家坂とKOUICHI(ds)。ひとつのマイクで歌う茂木とTAKUMA。茂木は肩
車でフロアに割って入っていき、さらには「情けないG-FREAKに愛を」と観客とコール
&レスポンス。打ち上げ的な雰囲気も楽しく、やりきったといった表情でハイタッチする
茂木。そして吉橋、家坂と抱き合うTAKUMAの姿も印象的だった。

なお、今回のツアーの追加公演&ワンマンとして「G-FREAK FACTORY“S.O.S”TOUR
2013-2014 FINAL ENCORE ONE-MAN SHOW~Sound Of Survival~」が、5月17
日に渋谷CLUB QUATTROで行われることが決定。さらには、G-FREAK主催による毎
年恒例のGUNMA ROCK FESTIVAL 2014 Powered by COLOSSEUMも、9月20日
にグリーンドーム前橋で開催される。

この日、『S.O.S』に関する活動の区切りはついたが、同時に新たな活動に向けたスター
トはすでに切られている。繰り返しになるが、何か行動を起こした者は非力ではあるか
もしれないが、決して無力ではない。筆者もまたG-FREAKの「行動」に心を突き動かさ
れたひとりだ。


文・兒玉常利/text by Tsunetoshi Kodama
photography by HayachiN


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