最新作を全曲披露するとともに、
結成からの1年9ヵ月で歩んできた
現在地を示した約2時間!!

THE TEENAGE KISSERS
September 20th, 2014 at SHIBUYA TSUTAYA O-NEST, Tokyo

7月9日に初フルアルバム『VIRGIN FIELD』をリリースし、今を生きるバンドとして
のグランジ/オルタナティヴ・ロックを体現したTHE TEENAGE KISSERS(TTAK)。
それこそ切迫してささくれだったエモーションが息づく、ヘヴィかつヒリヒリとしたダ
イナミズム、さらには女性的な情念が狂おしく、グラマラスにとさまざまな表情を見
せる音世界はスリリングだ。

そんな彼らが同作を引っさげた“RIPE TOMATO TOUR 2014”のファイナルとして、
9月20日に渋谷TSUTAYA O-NESTでワンマンライヴを行った。当日は『VIRGIN
FIELD』の全曲をプレイしたほか、ツアー先での写真を満載したZINE「OUT OF
CONTROL ♯2」の配布、北出菜奈(vo)と猫田ヒデヲ(b)によるアパレルブランド
「98%DIRTY」のアイテム販売開始と盛りだくさんなライヴに。バンドも結成から
の1年9ヵ月のすべてを出し切るようなパフォーマンスで約2時間を駆け抜け、さ
らなる展開に向けて現在地をきっちり示していた。

会場に着くと、フロアにはRED HOT CHILI PEPPERSやPJ HARVEY、THE KI-
LLERSなどが、TTAKの出自を物語るようにかかっていた。そして暗転とともに
VELVET UNDERGROUNDの“Venus In Furs”が流れると、気だるく妖しい雰囲
気が場内を包み、青い照明がステージ上の楽器に反射。否が応でも期待が高ま
っていった。
そんな中、メンバーは手を上げたり、両手を広げたりしながら登場。オーディエンス
の声援や拍手に応じ、『VIRGIN FIELD』同様“Halt”でライヴの幕を開けた。のっけ
から轟音、さらには快楽的な不協和音が心を鷲掴みにし、その様はガレージ・バン
ドが人知れず地下の密室でセッションを行うよう。また、その場の感情に任せて様
相を変える菜奈の姿には、グランジ/オルタナ版の「不思議の国のアリス」の世界へ
と誘われる感覚もあった。
菜奈はシルクのナイトウェア姿からしてセクシー。彼女は曲によってギターを激しく
かき鳴らし、夢遊病者のように虚ろな表情を見せたかと思うと、モニターの上で髪を
振り乱しながら踊り、むき出しのエモーションでフロアを煽動する場面も多々あった。
さらに、仲田翼(g)は全身にその場の情感を漲らせて多彩なフレーズを繰り出し、ヒ
デヲは躍動的なパフォーマンスに加えて絶妙なコーラスが印象的。小池麻衣(ds)も
安定したドラミングでフロント3人の手綱を握り、MCでは憎めないキャラクターで場
内の空気を和ませた。

ボトムのしっかりしたグルーヴに裏打ちされて一音一音が饒舌に響くとともに、各人
のエモーションが協調とせめぎ合いを繰り返すことで、TTAKとして濃密で刺激的に
迫ってくる。そんなステージが続いた。いや、逆にバンド・ダイナミズムが直接的なラ
イヴだからこそ、アレンジや音作りの面で素養の深さや卓越したセンスを感じる部分
も多々。彼らがスタイルの表層をなぞっただけのグランジ/オルタナ・バンドとは一線
を画すことを再認識した。特にMY BLOODY VALENTINE等に代表されるシューゲイ
ザー・スタイルを取り入れた“DAYDREAMER”のサイケデリックな浮遊感と柑橘系の
エクスタシー感覚は、音源以上に刺激的。まさに白昼夢を見ているようであり、目を閉
じると脳裏にはさまざまなイメージの断片が浮かんでは消えていった。
続く“Jellyfish”も音源以上のドラマ性が胸に響き、会場の雰囲気を妖しく退廃的なも
のに。菜奈はカスタネットを打ち鳴らして艶かしく体をくねらせ、最後は囁くように「サ
ンキュー」。焦燥感に諦めの交じった歌声は、楽曲の背後にどんな葛藤があったの
か想像をかき立てた。

その後も「どのくらいのテンポがいい?」と麻衣が手拍子の音頭を取り、そのテンポで
曲を始めた“VIOLENT LIPS”や、小気味好いポップ感がライヴ映えするVELVET UN-
DERGROUNDのカヴァー“Sunday Morning”、ジリジリと快く神経を逆なでした“Feel
Sick”等を繰り出すTTAK。“BLACK SKINNY BIRD”での菜奈は勇ましくコケティッシュ。
オーディエンスの人海に飛び込んでそのままステージの真ん中ぐらいまで泳いでいっ
たりといったシーンもあった。その横では翼が荒々しくギターをかき鳴らし、ヒデヲもま
た気合い込んでいる。オーディエンスもそんなバンドに共鳴して拳を挙げたりと熱狂的
に反応。さらに菜奈も「やる気あんのか!?」と観客を挑発するなど、フロアはレッド・ゾー
ン状態の盛り上がりを見せた。

本編は「サンキュー。愛してる」の絶叫とともに、菜奈がオーディエンスに倒れ込んだ
“Damege”で終了。熱っぽい余韻の中、「まだまだ足りない」とばかりに延々とアンコー
ルを求める手拍子が続いた。
アンコールは、『VIRGIN FIELD』から唯一まだプレイしていなかった“Needle”でス
タート。慈悲深さすら感じられるヴォーカルは火照った体を優しくクールダウンする
ように響き、ポップかつ凛々しく躍動する“FLOWER BED”へと繋いだ。そしてラスト
はダメ押しとばかりに“GHOST BITCH”。ヒデヲと目が合い、笑みをこぼす麻衣。最
後のフレーズを絶叫する菜奈。ネックをこすり合わせる翼とヒデヲ。ステージの去
り際には、アンコールで着替えたTシャツを菜奈が脱ぎ、フロアに投げ込むサービ
スもあった。

『VIRGIN FIELD』の充実ぶりを改めて示すとともに、TTAKにとっても重要な歴史の
1ページとなるライヴになったと思う。それこそ今後の活動の中で折りに触れて思い
返すことになるような。月並みな言い方だが、これからもTTAKからは目が離せそう
にない。


text by Tsunetoshi Kodama


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