鋭く、繊細なサウンドで空間を
切り裂くdummy-xDの真骨頂を観た!!

dummy-xD
May 8th, 2015 at Shimokitazawa Shelter, Tokyo

GrindHouse magazine Vol.88に掲載したdummy-xD。ポストロックやマスロック、
THE SMASHING PUMPKINS以降のオルタナにロックンロールまでもまとめあげ
たサウンドは、繊細かつ独特のもので、初めて聴いたときから、耳に刺さったまま
しばらく抜けなかった。その後THE TEENAGE KISSERS等と共演したイベントで
初めてライヴを観たが、デリケートな手触りの印象が強い音源とは少し違った印象
を受けて、よりバンドに興味がわいた。そしてTHE JUNJULYAUGUSTとの2マン
を行うとの情報を受け、より長いセットのライヴが観られるということで、勇んで下
北沢シェルターに足を運んだ。

まずはTHE JUNJULYAUGUSTが先に打って出た。ギター、キーボード、ドラム
のベースレスという珍しい編成のスリーピースで、黒いシャツなりジャケットなりに
身を包んだヴィジュアルが目を引いた。サウンドはというと、これまたdummy-xD
に負けず劣らずのアクの強さ。MUSEやRADIOHEADを思わせる部分もある高野
哲の歌声を軸に、神経質な不協和音を用いたサウンド、耽美的なメロディで、ゴシ
カルな空気を生み出し、それを梶原幸嗣のドラムが細かいフレーズで寸断していく。
中盤ではファンキーな跳ねるリズムを導入したポップな曲や、高野がギターを置き、
ドラムとピアノ、そしてヴォーカルだけで表現する楽曲も披露。なかなかな手の内
の多さを見せ、予備知識のまったくない僕も楽しませてくれた。また機会をみて、
音源もライヴもチェックしたい。

そして後攻のdummy-xD。幽玄なピアノのSEに導かれ “抗体”でライヴをスタート
させたが、やはり彼ら、異端だ。Shintaro(ds)と市川憲人(b)の硬質のリズムを、
アンクー(vo,g)と高麗匠(g)のギターが、シャープなフレーズやトリッキーなエフェ
クトが彩るなか、アンクーの中性的な歌声がフワフワと漂っていく。音をていねい
に、何層にも重ねたサウンドは、音源だと無機質というか、人間的な熱よりも、正
確な機械のような冷徹さを感じさせた。だからこそアンクーの歌声との対比が生き
ていたわけだけど、ライヴだとよりフィジカルな強さが前面に出てくる印象だ。とは
いえヒリヒリするような肌触りはそのまま。むしろサウンドのヘヴィさと激しさが増し
たことで、触れれば壊れそうなほどのナイーヴさも際立っていたように思う。それ
がアンクーの存在感と相互作用を起こして、音源とは違った、ライヴでしか味わえ
ない表情を押し出しつつ、バンドそのものの持ち味も全方位的に見せ、独特の世
界観を生み出していた。

“mortar”では引っかかるようなリズムでこちらの耳を引っ張ってみたり、“1,2,3”で
は音源になかったイントロからスタートさせてみたり、…と、楽曲ごとにカラフルに
表情を変えていくdummy-xD。また新曲(タイトル未定)では、一際きらびやかなフ
レーズを響かせ、また次のステップを覗かせたりも。先に書いたように、音源よりも
肉感的なサウンドながら、ヒートアップすることはない。ポストロックやマスロックの
要素を中心に、オルタナやニューウェイヴ、インダストリアルなどの要素も散りばめ、
一貫して内省的で影のある、クールな世界観だ。これを打ち込みや同期は一切な
しで、様々なエフェクトや奏法を駆使して人力で表現しているのだから、その実力
はかなりのものだ。最後の最後にアンクーが発狂したかのようにヒステリックな叫
び声をあげた“Sasquatch”までの1時間、目が離せなかった。

中盤でアンクーがたどたどしくMCで告知した通り、彼らは7月に1曲のみのシング
ルをリリースし、購入者対象にフリーライヴを決行する。そこではどんな世界を表
現するのか、そしてその後の展開はどうなるのか。楽しみだ。続報を待ちたい。


text by Yusuke Mochizuki
photography by mizuoka


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