ゴールデンウィーク直前に多彩な4組が
繰り広げたラウド・パーティを徹底レポート

ANGRY FROG REBIRTH
April 12th, 2014 at Shibuya Cyclone, Tokyo

言わずと知れたGrindHouse主催のライヴ・イベント“pre-GrindHouse jamboree
Vol.3”が、LOKA、NEW BREED、BAT CAVE、Northern19とこれまでに負けず劣
らずのメンツで、4月26日に開催された。この日、渋谷の街はゴールデンウィーク間
近の週末ということで和やかな雰囲気。その一方、club asiaではまだ陽も沈まない
内からバカでかい音で濃密で刺激的なラウド・パーティが繰り広げられた。

トップバッターは「Sexy, Bad & Heavy」をテーマに、ライヴハウスの枠に留まらず
ハイブリッドにクラブ・シーンともリンクするLOKA。ダンサブルなSEとともに手拍子
に迎えられ、次々に登場するメンバー。SIN(g)は両手を広げた後に胸の前で手を
合わせ、お立ち台の上で“来い、来い”とポーズ。kihiro(vo)も全身から気合いを発し、
場内を煽るように手を耳に当てる。フロントの3人がお立ち台に上がり、kihiroは「楽
しもうぜ!」と叫んでジャンプ。そして“SLICK”のヘヴィなグルーヴが場内にこだまし、
のっけから世知辛い世の中にまみれた喜怒哀楽のたがをはずしにかかった。
それぞれの一挙手一投足に無骨なエモーションが息づく。そして瞬間瞬間の感情
が共鳴し、LOKAとしてダイナミックなヴァイヴを生み出す様は、音源作品以上に激
しく刺激的だ。kihiroは「ライヴハウスの空気は全員で作っていくもの。一緒にアゲ
ていこうぜ!」などと随所でフロアと繋がろうとし、オーディエンスもバンドに呼応。未
来への野心が漲るパフォーマンスに手を揺らし、声を合わせた。加えては「バンドは
あれこれ待たされることが多いけど、俺たちはライヴのこの時間のためにやってい
る。どんなにダメだと言われても、夢がやれといっているんだ!」と熱っぽくkihiro。そ
の言葉にも強く心を突き動かされた。
情感溢れるフレーズを奏でるSIN。パワフルなビートを叩き出すKEN’ICHI(ds)。2人
は笑顔を交わし、その横には飄々と快い低音を弾く勝己(b)がいる。kihiroは多彩な
ヴォーカリゼーションとともに先走り気味に勢い込み、時に咆哮。口に水を含んで虚
空に吐き出したりした。全7曲約30分。4人はそのポテンシャルをまざまざと見せつ
けたと言える。

続くNEW BREEDは、TRIPLE VISIONとのタッグによる新体制での始動も最近の話
題に。細身に全身黒のToyo(vo)、メタル系といったTama(g)、シンプルなTommie-
B(b)、そしてちょっと小粋なMark(ds)と、それぞれの格好はバラバラ。だがバンドとし
て、ヘヴィ&メロディックなサウンドにエレクトロな要素を加えたスリリングなダイナミ
ズムで躍動。フロントの3人もステージを目まぐるしく動き、ラストまで濃密なテンショ
ンで全8曲を駆け抜けていった。
“immune to anything but you”、“Back to back with separate timeless”、“Trap-
ped”…ハイブリッドな楽曲に心が躍り体が揺れる。時に太鼓を乱れ打ちするかのよう
なMark。ガッと足を開いて低音に感情を込めるTommie-B。ちょっとやんちゃな感じ
でギターをかき鳴らすTama。Toyoはステージ上で自問自答を繰り返すようであり、
心の振れ幅をある時はメロディアスに、またある時は咆哮として吐き出していく。正
直、感情任せなアクションが微妙(?)だったりする瞬間もないわけでもないが、そこ
がまた憎めなく感じられたのも事実。“Out of reach”では、お立ち台の上でTamaが
Tommie-Bをふざけて押すような場面もあり、ちょっと微笑ましく映ったりした。
5月からは秋にリリース予定の新作に向けて制作期間に入るというNEW BREED。
ラストは残っているエモーションをすべてぶち込むように“ANSWERS”で締めくくられ、
場内もポジティヴなヴァイヴで一体となった。Toyoに負けじとシャウトするTommie-B。
最前列の観客とハイタッチするTama。お立ち台の上でギターを掲げるtama。あちこ
ちでオーディエンスの手も左右に揺れる。バンドにとってアルバム制作への弾みとな
るライヴになったことは間違いないと思う。

BAT CAVEはただただ圧巻のひと言だった。有島博志氏も終演後の挨拶で「凄かっ
たでしょ? 昔はもっと尖っていたんですよ」と話していたが、自分も彼らのライヴに
接するのは解散前の2005年以来。逆に言えば解散、そして2009年の再結成を経
験するなど、酸いも甘いも噛み分けての凄みが増した印象があった。JxIxBxI(vo)も
「ロックスターを夢見ていた時期もあったけど、ここ(ライヴハウスのような場所)で家
族や生活があってこそのワーキングクラスの音楽を続けていく」と自らを再確認する
ようにMC。それこそ彼らは、この日随一の貫禄でヘヴィロックの神髄を見せつけた
と言える。
それぞれのガタイがデカいこともあるが、圧迫感があるというか、とにかくステージ上
が極端に狭く感じられた約40分だった。ひとりひとりがその場にいるだけで強烈な存
在感を放ち、その一挙手一投足、そしてひとつひとつの音から含蓄が感じられてスリ
リング。実際、BAT CAVEの登場とともに場内の空気は明らかに濃くなり、バンドは時
にドゥーミーなサウンドとともに妖しさや危険な匂いを振りまいた。
長い髪を振り乱しつつ、野獣が本能のままに声を上げて暴れるかのようなJxIxBxI。
特に強烈だったのは「産まれた場所や環境で、未来が決まってしまう子供がいる。
そういう子供がいることを歌で表現した。まあ、8割はスレイヤーが好きで作った曲
だけど」とプレイされた“W.D.C”。真っ赤な照明に場内が血塗られたかのような状
況となる中、筆者も心の奥に仕舞い込んでいたプリミティヴなエモーションが一気
にわき上がってくるのを感じた。ラストもタイトルばりに55秒間のカオスを生み出し
た“55 Second Death”。繰り返しになるが、やはり凄いものを観たと思う。

この日のトリは、6月25日に新作『DISCOVERY』をリリースするNorthern19。登場
するなり笠原健太郎(vo,g)は無邪気に万歳といったポーズ。そして井原知治(b,vo)
とともに馬場豊心(ds)のところに集まると、3人は気合いを確かめ合うように拳を合
わせた。さらに笠原は、雷が直撃でもしたかのように体を揺らし、「イェー! イェー!」
「オー! オー!」。“一緒になって楽しもう”といった飾らずフレンドリーなライヴがスター
トした。
小気味好く疾走する好曲のオンパレードが、瑞々しく胸をくすぐる。ジャンプして満
面の笑みを見せる笠原。その後井原と笑顔を交わすと、今度は井原がジャンプ。
コーラス・パートでは場内のあちこちから手が上がり、シンガロングなサビのメロディ
がまたときに激しく、ときに優しく心をかき鳴らす。加えてはメロディック・パンクのス
ピード感を体現する笠原ヴォーカル曲と、より叙情的にメロディを聴かせる井原ヴォ
ーカル曲との曲調の違いも快く、音楽が好きで好きでたまらないといった表情も、
眩しく映った。
掛け値なしに楽しく和やかなライヴが続く。そんな中、彼らはニュー・アルバムから
オープニング曲である“START AGAIN”をいち早くプレイ。タイトルどおり軽快な疾走
感に新たな決意が力強く息づく1曲であり、新作に対する期待をさらに膨らませる結
果になったことは言うまでもない。また、笠原は「実際の年齢は分からないけど、自
分の親父みたいな年齢の人が第一線でロックを好きでいてくれるのが嬉しい」と、有
島氏に「俺の親父になってください」とも。おいおい!

終演後は、今や恒例行事となった出演者&観客と有島氏の記念撮影。
次回の“Vol.4”はどんなラインナップになるのか、早くも待ち遠しい。


文・兒玉常利/text by Tsunetoshi Kodama
photography by Kana Tarumi


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