パンクをキーワードに渋谷が燃えた。
約7ヵ月ぶりにGrindHouseのライヴ・イベントが開催

pre-GrindHouse jamboree Vol.4
November 29th, 2014 at Shibuya Club asia, Tokyo

2014年11月29日、GrindHouse主催によるライヴ・イベント“pre-GrindHouse
jamboree”が約7ヵ月ぶりに開催された。今回の“vol.4”には、RADIOTS、HAK-
AIHAYABUSA、SECRET 7 LINE、Infectionが参戦。同じくパンクに焦点を当て
てG-FREAK FACTORYらが出演した“vol.2”ともまた違った意味で、その歴史
や多様性に改めて気づかされる濃密な時間だった。

トップ・バッターはメタルコアのInfection。「フェク男」などと呼ばれ、メンバー全
員が平成生まれの新進気鋭だ。まだまだ無名の存在ではあるが、7月に『THE
CREAL EP』をリリースし、10月にはSikThの来日公演をサポート。筆者もなこ
の日の熱くひたむきなパフォーマンスに触れ、今後の活躍を確信した。…だけ
に、活動休止が残念でもある。
それこそDAN(vo)には水を飲む後ろ姿からしてやってやる! といった気合が感
じられた。そして「ヴィエーーー! We are Infection!! 渋谷、やっちまえ!!」と剥き
出しのエモーションを爆発させてライヴをスタート。感情任せに激しく頭を振るフ
ロントの4人。Seijiro(g)はジャンプ。肺気胸で入院中だったAnbo(g)に代わるサ
ポートのyuho(g/Capture of the sky)も、勢いよくターンを決める。ヘヴィな音
塊は、周囲にあるすべての物を蹴散らすように迫り、最初こそ反応の薄かった
フロアも、がむしゃらなステージに引きこまれていった。
さらに場内と一体になろうと「忘年会の余興みたいになってるじゃないか。俺たち、
恐くないから。熱く男臭くがテーマだから」とDAN。さらには「後でツイートしてね。
エゴサーチするから」と憎めない一面を見せ、「これはほしいもの、やりたいもの
について口にした時からすべてが始まるという曲」と“CODE TALKER”。拳を突き
上げるDANにフロアも呼応。その後も確実にバンドと観客の心の距離は縮まっ
ていき、一挙手一投足に対するオーディエンスの反応にバンドも嬉しそう。ライヴ
後には温かい拍手と歓声が起こった。

続くSECRET 7 LINEは、イージー・コアの雄としてもはや説明するまでもない
だろう。彼らは2014年3月から結成7周年を記念してさまざまな企画を展開。
そんな中、叩き上げのダイナミズムで人間臭く軽快に飛ばしながらオーディエ
ンスと繋がり、メロディック・パンク/ポップコア、ひいてはパンクロック・ライヴ
の楽しさを体現した。
“DANCE LIKE NO TOMORROW”“PIECE OF CAKE”“BURN TO THE GR-
OUND”…余分なものをそぎ落としつつ、一音一音が饒舌に躍動するパフォー
マンスが胸に迫る。とはいえ、姿勢はあくまでも「一緒になって盛り上がろう」。
「渋谷、ライヴハウスは壁に張り付くところじゃないだろ? 燃やしていこうぜ!」
とRYO(g,vo)。SHINJI(b,vo)もフロアに手拍子を促し、TAKESHI(ds)もフロン
ト2人と観客のやり取りに笑みを浮かべ、場内に息づくポジティヴなヴァイブ
の原動力となるパワフルなビートを叩きだした。
ラストは「明日へとちょっと元気になれるパワーを! そしてまた汚いライヴハウ
スで会いましょう!」(RYO)と“1993”。RYO、SHINJIの歌心とエモーションが交
錯する。そんなバンドに対し、オーディエンスも笑顔でジャンプしたり、胸のす
くメロディを合唱。小気味好い疾走感に合わせ、女子がステージ前の柵まで
抱えられて運ばれる場面もあった。「いい夜でした!」とSHINJIRO。3人は充実
の表情でステージを後にした。

そして多彩なラインナップの中でもひと際異彩を放ったのが、レゲエ色の濃い
HAKAIHAYABUSA。まさしくこの日の台風の目であり、レベル・ミュージックと
してのオーセンティックなレゲエに立脚する一方、ありきたりな日常の中から
生まれる喜怒哀楽を飾らない人間賛歌に昇華。場内の空気を温かく緩やかな
ものへと変え、こちらとしても知らぬ間に術中にハマっていく感が心地良かった。
KZ(vo,g)は近所からフラッと来ましたといった佇まいが何とも憎めなく、「さぁ、
歌いますか?」「騒ぎましょう!」などとフロアを飄々と扇動…というより酔っ払い(?)
が周りを話に巻き込む感じ。DJ SHUN(dj)、787(key,sax)を加えたグルーヴ
も、それぞれの気ままなエモーションが呼応して人間臭くうねり、“One big fa-
mily”の頭でしくじったり、“Sweet childlen”に入ろうとして変な間ができたのも
ご愛嬌。快く心を躍らせ体を揺らすとともに、「大切な人を大事に」(KZ)と歌わ
れた“God fish”やラストの“koe”では筆者の頭にもあのコの顔が浮かび、ライ
ヴ後は絶対に会いに行こうと思った。
無邪気な子供のように全身でギターを弾くWack(g)。談笑するMoby(b)と787。
フロアではKZの音頭に合わせて手が上下に振られ、笑顔の輪が広がる。「ま
た会えるように精進します。それまで元気に毎日を過ごしてくださいね」と“koe”
の前でKZ。混沌とした時代だからこそ、生活に根ざした音楽の強さやパワー
を改めて実感したライヴだった。

トリはストリート・パンクのRADIOTS。フォークロアを思わせるSEに乗せ、メ
ンバーが次々に登場。ANTON(b,vo)は手を挙げ、HIROMITSU(g,vo,mand)
はギターを試し弾き。そしてYOSIHYA(vo)が姿を現わすと場内がひと際沸き、
男臭くシンガロングなパンクロック・ショウがスタート。4人は“YO-HO A PIR-
ATE'S LIFE FOR ME”から快調に飛ばし、根源的なスピリッツやダンディズム
に根ざしての「今」なパンクを見せつけた。
YOSHIYAはシンガロングなパートでフロアにマイクを向け、ステージ前の柵
に足をかけた前傾姿勢でシャウト。ときおり見せる不敵な笑みも心憎く、「もっ
と行っちまおうぜ!」などとステージとフロアの垣根を取っ払おうする。そんな
彼に対し、髪を逆立て鋲ジャンで決めたパンクスはステージに上がってコー
ラスに参加。そしてダイヴ。さらには、女子がオーディエンスに抱えられてス
テージまで運ばれていく場面もあり、いろいろな意味で自分もその一団に加
わりたい気持ちを抑えるのに必死だった。
加えて、HIROMITSUは低めの位置にあるギターをクールにかき鳴らし、軽
快にターン。ヴォーカル面でも含蓄のある歌声で、YOSHIYAのダイレクトな
エモーションと交錯。逆にANTONは電気ショックでも受けたかのように戯け
てみせ、疾走感に溢れたYukiのドラミングも逸る気持ちに拍車をかけた。

ライヴ終了後も熱っぽい余韻とともに、延々と続くRADIOTSコール。そんな
中、筆者はラジオから流れるTHE CLASHの“London Calling”に衝撃を受
けた頃のことを思い出していた。そう、多感な時代はすでに昔のことだが、今
もパンクは胸を熱くさせるのだ。


文・兒玉常利/text by Tsunetoshi Kodama
photography by Kana Tarumi


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