2時間45分というロングセットの中、殺傷力100%な轟音サウンドを叩きつけられたライヴだった!

JILUKA@TSUTAYA O-WEST
先日最新シングル『Ajna〜SgVer〜』を発売したJILUKAが、TSUTAYA O-WESTにてワンマンライヴを催した。ライヴ中、場内では見渡す限りのバンギャが扇風機のごとくヘッドバンギングしていた。基本メタルというホットなライヴだったにも関わらず、どこか涼しさを感じたのはバンギャのおかげかと(笑)。

ここ最近ライヴハウス通いをしててふと思うことがある。「もっと、ずば抜けて極悪な音出すバンドがいればいいんだけどな」と。事実周辺のバンドマンと話していても「最近はなにかにひとつずば抜けているバンドいないよね」となるほどだ。自分が生まれた頃には、すでにレコーディング技術をはじめ、Pro-Toolsなどの音源制作ツールが進化・発展を遂げている最中だった。実際そこまで演奏力のないバンドでも”それなり”の音が作れてしまうという21世紀ならではの問題だ。 このJILUKAも初めて音源を聴いた時は洗練された音作りという印象が強かった。いうならばLINKIN PARKの『HYBRID THEORY』までとはいかないまでもある程度計算され、なぜここにスクラッチを入れるのか?というのもすべて考えられて配置されている、というような印象を受けた。では、それらがライヴになった時にどういった形で表現されるのか。視覚的なところも含め、音源との差をどのように出すのかが非常に興味深かった。 そして、今回TSUTAYA O-WESTにて"JILUKA 4th ONEMAN LIVE【PHASE:osmosis】”を開催観た。




17時、場内の客電が落ち、暗転。サンプリングを多用したSE”Blasphemy”が流れ出すと同時にRicko(vo)、Sena(g)、Zyean(ds)、Boogie(b)が登場した。しょっぱなから”Divine Error”をぶつけてきた。Rickoによる吐き捨てヴォーカルからV系メロディも歌い上げてしまう多彩なアプローチ、ジェントがかったギターリフ。この曲はJILUKAの中でも屈指の展開の多さ持ち合わせる曲だ。ヴォーカルスタイルの切り替え、ドラムはブラストを多用するなど肩慣らしの曲というよりかはどちらかというと中盤にプレイしそうな曲だが、ここで彼らはあえて1曲目に持ってきた。すでに場内のテンション、熱気はストップ高を記録していたようにも感じた。ここから中盤までは一切妥協することなく、速度も落とすことなく鞭打ちのごとく駆け抜けた。




バンドとしてはまだまだ若いが、それゆえのエネルギッシュなパフォーマンスは好感が持てる。ライヴはライヴだ。音源の洗練された雰囲気もしっかり抑えつつ荒削りな演奏が実に印象的だ。彼らの楽曲というのはRickoのメロディライン、ヴォーカルを除けば実にオーセンティックなメタルであり、基本はキャッチャーさのない超極悪サウンドだ。Senaの無理なく繋ぐリフの引き出し数の多さ。スライドピッキングを得意とし、力技ではあるが不自然さを感じさせない器用なプレイもいい。




そして、印象的だったのはBoogieのツーフィンガーでのベースプレイだ。股下までベースポジションを下ろし指で弾く姿はかのMETALLICAのロバート・トゥルージロを連想させた。楽曲や展開による緩急のつけ方、アップテンポの楽曲を持つバンドならではのドラムとの絡みなど”影の立役者”的な存在感を放っていた。それらによる緊張と解放の使い分けが功を奏していたようにも思う。




楽曲こそ、洋楽や洋楽に近い日本のバンドから影響を受けているが、ステージ上のヴィジュアルこそ日本の文化を感じさせた。Senaの容姿はファイナルファンタジーのライトニング(終始肌が女性のように綺麗だと感心した)を連想させるし、前述のBoogeiは和服を基調とした衣装もそうだ。日本の近代カルチャーからも強く影響を受けていることが伺えた。 セット終盤、最新シングル『Ajna〜SgVer〜』からのカップリング曲”M.A.D”が披露された。ミュージックビデオとして制作するとのことらしく3度プレイするという珍現場にも遭遇した。

自分は今までJILUKAのライヴを今回含め2度観たことがある。一度は30分という短いステージで本当にMCもこれといって特になく5曲ほどでそのときは終わってしまった。今回2度目の観戦となったが、ワンマンということもありかなりの長丁場だった。メンバー皆が観客とやりとりを重ねる場面もあったし、硬派な楽曲をやっているにしてはMCになるとそのシュールなメンバー同士の会話がかなりウケた(笑)。特に小さい声で話すZyeanを注意するRickoとBoogeiの絡みは極上の笑いを生み出していた。今回のセトリは今までのJILUKAを総括したようなセットだった。

そして早くも来年5月20日に同会場にて”JILUKA:5th ONEMAN LIVE【BIGEMINY】の開催が決定した。現在、かなりの数のライヴをこなしている彼ら。きっと今回以上に強烈なステージを繰り広げてくれるだろう。乞うご期待だ。


文・島村優駿