日韓合同開催、異色のフェスティバル"恐るべき電気の騎士達×NO MERCY FESTの模様をお届け!

8月5日に高円寺SHOWBOATで開催された日韓交流音楽イベント"恐るべき電気の騎士達×NO MERCY FEST"。韓国からまったく趣の異なる2バンドが来日を果たし、日本のバンドと対バンや対談を果たすなど実に充実したイベントとなった。

チーム韓国のトップバッターは若手メタルコアのMESSGRAM。2011年にソウルにて結成された男女ツインヴォーカルのメタルコアバンドだ。エレクトロでダンサンブルなサウンドにブレイクダウンや尖ったサウンドを混ぜ、メタルコアの様式美的スタイルを聴かせた。ジヨンの上品で勢いのあるクリーンヴォーカルに、後ろでかき鳴らされるジャニーのデス声、そして時折チラりと顔を覗かせるエレクトロニックなサウンドが楽曲の表情を豊かにしていた。曲の中で混沌と静寂といった、対極に位置するコントラストの明暗が舞台照明と呼応し、色鮮やかな世界観を描いていった。特に”What We Are Pryaing For”ではジヨンのヴォーカルは小柄ながらもパワフルでハリのある歌声を聴かせてくれた。彼女のダイナミックなパフォーマンスも印象的だった。なかなかの好戦を繰り広げてくれた。



6月に韓国ツアーを経験した(HAMMERINGとは韓国で行われたNO MERCY FESTでも共演した)Moth in Lilacはさらなる飛躍を遂げていた。自分が初めて観た時と比べれば圧倒的に演奏力、またそれに伴う音の整合性というのがかなりレベルアップしている。特にNaluchaRosのベースの上達ぶりは異常なまでだった。かつてはややグルーヴが欠けていたように感じられたものの、今は見事なまでに生々しく、渦巻くようなグルーヴを生み出すまでになっていた。荒削りながらもバンドサウンドに脈動感を与え、パフォーマンス力も格段に上がっていた。”嬢メタル”や”ハードな演奏をするガールズバンド”なる売り出し方が昨今目立つが正直に言ってしまえば、所詮は外見重視だ。しかし、このMoth in Lilacは違う。ハードな演奏、音楽に対するストイックな姿勢というのがこのステージからも滲み出ていた。行くもの来るものすべてを破壊するその、攻撃的なプレイは他のガールズバンドを圧倒するはずだ。しかし、告知や物販宣伝の際の可愛らしげで終始ギャグに徹したMCとのギャップもイイ(笑)。全体的な曲と曲の繋ぎ方、特に冒頭の曲順はがっつりと観客を掴む流れを今まで以上に鮮やかに作り出していた。



そして、チーム韓国の最後を務めるのはHAMMEIRNGだ。韓国のベイエリアこと仁川(インチョン)を拠点に活動している4人組。2013年にセルフタイトルのEPを発表しデビューを果たしている。先ほどのMESSGRAMとは打って変わり、マイナーキーで書かれた楽曲は、短音をいくつも並べ構成されたギターリフと咆哮、素早いドラムビートを中心に展開していった。ずっしりとしたサウンドの中に、ひっそりと佇むメロディがより楽曲を美しく、そして暴虐的に彩っていった。楽曲の多くはデスメタルやスラッシュメタルを連想させるが、時折挟み込まれる哀愁感漂うメロディがなんともいえない味わい深さを生み出していた。欧米の横殴り的ハードコア要素も含みつつ、北欧メロデスの要素も混ぜ込み、さらにはそれらを韓国流に再構築・再解釈したというある意味欲張りなサウンドだ(笑)。また、瞬間的にキャッチャーになるサウンドもいい。普通であるならばリフで繋ぎ、強引に畳み掛けるところをギターソロへ展開していくなど、予想に反するような曲展開も面白い。溢れんばかりのダイナミズム、エクストリームメタルな音圧に圧倒された。MESSGRAMとは相反する混沌や漆黒といった影のテイストに終始徹していた。こうして、日韓合同開催の”恐るべき電気の騎士達×NO MERCY FEST”は幕を閉じた。各バンドとも互いに火花を散らしつつもそれはステージの上だけだ。昨今、尖閣諸島問題など政治的なしがらみなどが日韓関係を取り巻いている。そんな中、開催された今回の対談(GrindHouse magazine Vol.103掲載)をはじめとする本イベントも音楽を一つのツールとし、両国の交流を深めていた。そういった意味でも今回のイベントは成功したといえるだろう。音楽とは境界線や言語の壁をも超えることができてしまう。それどころか、一見すると芳しくない状況下であっても、人々を繋げることができる。この時改めて音楽の力強さというものを感じた。是非、今後とも2回、3回と開催し続けてほしい。そして、音楽を通じて人々を繋ぎ続けて欲しい。



下記リンクのP16でHAMMERING×MESSGRAM×Moth in Lilacの対談を読むことができる。
GrindHouse Magazine vol103 全ページ公開

この動画は対談取材の時に撮影されたものだ。実に画期的な動画だ。




文・島村優駿
写真・mio