4回目の大冠祭!次回へと繋げる布石を残した回だった

新作「奪冠」をリリースしたTHE 冠。恒例の大冠祭が今年も開催!


大冠祭・・・それはただのメタルフェスともロックフェスとも違う。THE冠が主宰・先導する"お祭り"である。オープニングアクトには過去にTHE冠の『初志冠徹』のリミックスを担当したことがあるTHE GAME SHOPが出演。さらに、HER NAME IN BLOOD、AA=などのジャパニーズメタルの血筋を引いているバンド達が顔を並べた。20時30分を少し回った頃、ライヴはTHE冠自身の名前を入れた楽曲である"初志冠徹"でスタート。のっけから京都府宇治市流メタル節な「ほないこか!」が炸裂。1曲目の終盤であの兜を外し、”傷だらけのへビーメタル”へとリフを繋いだ。ハイトーンシャウトにK-A-Zのギターソロがド頭から畳み掛け、客席を駆け抜けた。前回『♀フェス 〜日本一おもろいバンド決定戦〜』で自分がライヴを観た時は4人体制だったが、今回の大冠祭には長身、ドレッドヘア姿及びに、7弦使いのK-A-Zがギタリストとして参加しており、いつにも増して音に分厚さを感じさせた。6弦と7弦のギタリストという、変則的な布陣ではあるもの、ギターソロとバッキングという2人のスウィッチングも楽しめた。客席を向きつつも、2人のギタリストの間では、”音”によるぶつかり合いが起きていた。どうやら、奪冠ツアーではいくつかの公演にK-A-Zも参加するみたいだ。モダンメタル的テイストと歌謡曲のメロディという、ある種異色かつ冠ならではのクセになるメロディを持ち合わせる"イロモノ"や"糞野郎"を披露。XーJAPANを元祖とし、今日までメタルと歌謡曲という、ある種異質な組み合わせは過去にも幾度となく行われ、その相性の良さは証明されてきた。そうこうしていると、男には燃えなければいけない時があるという、やり場のない”何処吹く風な漢気”や”冴えない及び腰の男”をテーマとする”エビバディ炎”へ。間奏におけるXーJAPANの”紅”の「紅に染まった、この俺を慰める奴はもういない」の使いどころもツボを突いてきた。客席からは笑い声とモッシュピットが同時に起こるという、まさにTHE冠ならではの、観客との間でのハーモニーの奏で方だ。 アンコール含め、曲数は9曲のうち新作からは2曲と案外少ないようにも思えたが、天下一品ともいえる冠の喋りを挟み込めば1時間という時間の中だとベストな曲数というようにも感じた。



自分が初めてTHE 冠を体験したのは、4〜5年前に埼玉県熊谷市にあるライヴハウスHEAVEN'S ROCKでだ。あの時よりもギャグ一つとっても、力がこもっているように思えるし、歌詞の言葉選びというのも熟成され、一つ一つに深みがある。ふざけているだけに聴こえるような歌詞も世に生きる男性には痛切に共感できるものであろう。やはり、冠本人の経験をもとに書かれた歌詞は実にリアリティ溢れる哀愁や男のロマンが漂う。それらの、THE冠的な音楽的な要素とライヴにおける、冠本人の顔芸や喋りといった要素と融合することで音源では出しきれない、視覚的な部分においても力を発揮している。 音楽不況に見舞われる昨今。それでも一筋に諦めず、メタル、音楽を追いかける姿には胸を打たれる。このまま、冠道を走り続けて欲しい。




文・島村優駿
photo by Kana Tarumi