HEAD PHONES PRESIDENTが
見せつけた、新たな可能性と地平とは!?


まさに挑戦作であり、勝負作であり、それに勝利作。
HEAD PHONES PRESIDENTの新作『Disillusion』は、そう言いた
いアルバムだ。

バンドの軸であるダークネスをキープしつつ、明るささえ感じさせるメ
ロディやわかりやすさを手にした前作『Stand In The World』は、今聴
いても、思わずうなるほどの名盤だ。それはバンドにとっても同じだっ
たようで、「次の作品へのハードルが上がってしまった」というのは、メ
ンバーが口を揃えた言葉だ。
しかし、彼らはやってのけた。『Disillusion』もまた、すごいアルバム
となった。

基本的には、『Stand In The World』を踏襲した作品だと言える。とは
いえ、繰り返しや焼き直しでは、決してない。アンサンブルにはより解
放感やスケール感が加わっているし、ところどころで同期を取り入れ
る等、新たな要素にも挑戦。「初めて時代の空気を読んでみた」とのこ
とだが、それもバンドのしっかりとした核と、絶対的な自信が備わって
いればこそ。実際、間違いなくHEAD PHONES PRESIDENTの作品
なのだ。

冒頭の“The One To Break”から、驚かずにはいられない。キャッチー
なリフを次々と繰り出しつつ、伸びやかなメロディを絡ませながら舞い
あがっていく。そこからスラッシーに突っ走る“A New World”へと続い
た時点で、バンドの仕上がりがよくわかるはずだ。
本作の呼び水となった“I Mean It”、アコースティック・ギターのフレーズ
を奇妙にループさせた“Wait”、トライバルな空気に酔える“Dancing With
Shadows”、突然ファンクへと転がっていく“Far Away”等、曲ごとに多彩
な聴きどころを設けているのに、散漫になったり、複雑になりすぎること
がない。音がスッキリしているし、緻密な計算のもとで配置されているか
ら、密度がありつつ聴きやすいのだ。
またANZAの歌も、シンプルな言葉選びを意識したこともあって、より耳
になじみやすくなっただけでなく、表現力がより豊かに。単純な歌唱力に
も磨きがかかっている。彼女いわく“Wait”は初のラヴソングとのことだ。

これまでの反省点を生かし、余計な枝葉を落としつつ、新たな実を結び始
めたHEAD PHONES PRESIDENTの姿かここにある。まだまだ手の内も
可能性も広がっていくバンドの、新たな力作だ。

ちなみに最後の“In Dreams”のピアノはHiro(g)によるもの。繊細で美し
い曲だが、何度も失敗を繰り返したうえでの、渾身の一発録りだそうだ。


文・望月裕介 / text by Yusuke Mochizuki


 HEAD PHONES PRESIDENT
 『Disillusion』
 8月6日発売

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