確かな音楽的成長・進化を
真っ正面からブッ放す、力漲る新作!


のっけから手前味噌な話で恐縮ではある。このHER NAME IN BLOODは自分
が 今、もっともさらなる活躍を期待し、絶対それを成しとげると確信してやまない
バンドのひとつである。

3年ぶりの公式自身音源となった前作『THE BEAST EP』(2013年)は収録曲6曲
なるミニ作だったけど、聴き応え&手応え十分な“力作”だった。初フル作『DECA-
DENCE』(2010年)発売からの3年間を過ごし、いろいろなものを吸収したバンド
のすべてが詰まってた。
“ちっぽけな島国”というどうしようもない事情から、日本のロックシーンはなにか
と“短期決戦”の様相を呈す。よって音源をコンスタントに発表していくのが常であ
り、当たり前となってる。昔っからそうで、この点は欧米のロックシーンとの大き
な違いのひとつだ。それゆえ3年もの長い間音源を出してなかったっていうのは、
しょっちゅうライヴハウスでライヴを演るバンドにしては稀だ。しかし、結果論に
過ぎないのだけど、それで大正解だったと思う。
彼らは『THE BEAST EP』で“自分たちが何者で、なにを得意/信条とし、どこへ
行こうとしてるのか”という“音楽的アイデンティティ”をきちんと内包してることを、
それまで以上に多くの人たちに喧伝することができ、強く、熱い支持を手にでき
たわけだから。

そして、まさに満を持して発売される2枚目のフル作『HER NAME IN BLOOD』
――。『THE BEAST EP』発売に伴い、彼らのライヴ量は飛躍的に増えた。それ
が明確なる血肉となり、根音からして太くなり、バンドという集合体としての強靭
さも増してる。『THE BEAST EP』よりスピードという点は明らかに“減速”している
のだけど、まるで戦車が向かってくるような圧倒感があり、かつ手を一切緩める
ことなく、波状攻撃を繰り返すようにたたみかけてくるさまには、強烈なる凄みす
ら覚える。マイナーキーのメロウな響きで始まり、サビでそれが再び立つ“All That
Living Inside Our Head”、アコースティックなインスト・パートが幅を効かせる
“Dusting”、メロディが歌われ、奏でられる“If I Melt Away”とこれまでになかった
新機軸の曲があり、音楽的キャパシティがひと回り広げられてる成長・進化の跡
がハッキリ見てとれるの。と同時に、実はエクストリームメタル、パンク、ハードコ
ア、オールドスクールなメタルが縦横無尽に化学反応した彼らの“出自”は一切揺
れず、変わってないこともよくわかる。ここ、今作において非常に重要なポイントだ。

ブレず、媚びず、流されず。それでいて、音楽領域を切り開いたHER NAME IN
BLOOD、カッコよすぎだ。今作をチェックすべし! 聴くべし!


文・有島博志 / text by Hiro Arishima


 HER NAME IN BLOOD
 『HER NAMEIN BLOOD』
 4月23日発売

▲ TOPへ戻る /  前の記事へ /  次の記事へ