5000万枚のセールスを誇るモンスター・
ロック・バンド、NICKELBACKによる新たな挑戦


古きよき時代のアメリカン・ハード・ロックを(もっとも彼ら自身はカナダのバンドだが)
モダンに奏でるバンドとして、ここ日本でも大人気の4人組、NICKELBACK。これま
で5000万枚のセールスを誇るその彼らが10年以上在籍してきた古巣Roadrunner
を離れ、新たにアメリカの超メジャー・レーベル、Republicと契約を結び、前作から
3年ぶりとなる通算8作目のアルバム『NO FIXED ADDRESS』を完成させた。

海外ではすでにアルバムからの第1弾シングル“Edge Of A Revolution”と第2弾シ
ングル“What Are You Waiting For?”がヒットしていることからも、多くのファンがこ
のアルバムに期待していることが窺える。ちなみに、前者は大観衆が拳を突き上げ
るライヴの光景が目に浮かぶメタル色濃いアンセミック・ナンバー。後者は泣きのパ
ワー・バラード。ともにファンが彼らに求めるものに見事応えた、NICKELBACKの王
道路線。だが今回、アルバムを作るにあたってはさすがに移籍第1弾ということもあっ
て、メンバーたちにも気合を入れ、並々ならぬ意欲を持って取り組んだようだ。

前述した“Edge Of A Revolution”をはじめ、ハード・ロッキンな魅力をアピールしな
がらも安易に王道路線に逃げず、ファンキーなサウンドにアプローチするなど、自
分たちのサウンドをぐっと押し広げ、攻めに出たところにロック・バンドとしての矜持
が窺える。アナログ・シンセっぽい音色を味つけに使ったNICKELBACK流のディス
コ・ナンバーとも言える“She Keeps Me Up”、ホーン・セクションとFlo Ridaのラッ
プをフィーチャーした“Sister Sin”の挑戦がファンにどう受け止められるか楽しみだ。
シンフォニックなシンセを交え、ダイナミックかつドラマチックに仕上げた“The Ha-
mmer's Coming Down”、アコースティック・ギターを軽やかに鳴らしながら爽や
かなハーモニーを聴かせるポップ・ナンバー“Satellite”もおもしろい。そして、打ち
鳴らすバスドラがダンサブルなロッキン・カントリー“She's Got Me Runnin' Round”
でアルバムを締めくくる。

多彩な曲が並ぶも、ブレているように聴こえないのは、やはりチャド・クルーガー(vo,
g)の歌声に強烈なインパクトがあるからだ。それは彼らが一番わかっているに違い
ない。シンセを味つけに使ったサウンドからもミュージック・シーンの最前線で勝負し
たいというバンドの意欲が感じられる1枚だ。


text by Tomoo Yamaguchi


 NICKELBACK
 『NO FIXED ADDRESS』
 11月19日発売