奇抜かつ王道。極彩の怪物が蠢く、
一筋縄ではいかない怪作にして快作!


まず、極彩色のアートワークに驚かされる。コズミックホラーか異星人SFかと
いった風情の怪物は、過去作と一緒に並べてもかなりの存在感だ。そして今作
のサウンドもまた、今までとは似て非なる得体の知れないエネルギーが蠢めい
ている。

熱気に満ちた高密度なヘヴィネスが中核を担い、整然と敷き詰められたミニマ
ルなリフなど、理知的でテクニカルな面も随所で存在感を主張する。重厚な疾
走感を撒き散らす“Tread Lightly”では後半に畳み掛けるリフで圧倒され、NE-
UROSISのスコット・ケリー(vo,g)がゲスト参加した“Diamond In The Witch
House”では、重苦しくじりじりと闇の深まっていくような余韻に浸る。スラッジや
ハードコアの突進力からプログレッシヴな深みまでを幅広く飲み込んだ楽曲陣
は、どれもが個性的で、一筋縄ではいかない。そんななかでも、トリッキーな高
音フレーズで幕を開ける“Aunt Lisa”はひときわ特徴的だ。7拍子の切迫したリ
ズムと神経質に刻まれるリフが肉厚なサウンドで展開され、東洋的な中盤を経
た後にパンクなかけ声がぶち込まれる。カオティックに凝縮されたこの曲は、今
作中でも異彩を放つ圧巻のキラーチューンだ。

キャリアを重ねるごとに表現力を増していくヴォーカルも無視できない。暗黒ス
ラッシュを軸に攻める“High Road”などで勇猛さあふれる「MASTODON節」な歌
声が聴ける一方、刻みのリフから一気に開放的なコーラスに移る“Ember City”
でのメロディは清涼感すら覚える。ときに野太く、ときに颯爽とした歌メロが分厚
いギターリフと絡み合う様子は、正に変幻自在だ。

異質な要素を並べつつ、キャッチーで明快な部分もしっかりと聴かせてくれる。
「プログレッシヴ・ハードロック」とでも言いたくなる、彼らだからこそ繰り出せる
無類のサウンドが、深遠で目を光らせている。



文・盛泰彰 / text by Hiroaki Mori


 MASTODON
 『ONCE MORE 'ROUND THE SUN』
 6月25日発売