まずは冒頭、お礼を述べたい。
2月8日(金)の夜開催@渋谷ロックのこころでのDJイベント
petit GrindHouse night Vol.201~feat. BULLET FOR MY VALENTINE~
にきていただいたみなさん、本当にありがとうございました。とても楽しかったです!
また同様のイベントを企画するので、その際もぜひ! 近日発表します!

さて、本題である。

2008年5月に実現した4度目の来日公演を大成功のうちに終了したBULLET FOR MY VALENTINE
(BFMV)は、ひと呼吸置いてからUSヘッドラインツアーに出た。BLEEDING THROUGH(BT)と
CANCER BATS(CB)をサポートに引き連れてだ。先月惜しくも解散声明を出し、もうすぐ13年以上の
長い活動キャリアに終止符を打つことになったBTは当時、通算5枚目のフル作『DECLARATION』
(2008年/日本盤未発売)発売直前期にあった。一方のCBは2枚目『HAIL DESTROYER』(2008年)
発売直後で、翌年のサマソニ2009参戦を足場に日本正式デビューし、名や存在やその音楽を知られ
ていく前哨戦のようなタイミングにあった。BFMVのライヴを初めてアメリカで観たときのことは連載第4回
に書いた。2007年4月14日、南部アーカンソー州リトル・ロックのライヴ会場、ザ・ヴィレッジで、だった。
2枚目『SCREAM AIM FIRE』(2008年)がUSチャートで初登場4位をマークするなど、勢いのあるチャート
パフォーマンスを繰り広げ、さらにはLOUD PARK 2008出演も決まってたこともあり、再度“アメリカでの
BFMV”を観て、体感したくなった。もちろんBTはフェイバリットバンドのひとつだし、初めて観戦するCBも
興味津々だった。前回は南部だったので、そのときは西海岸カリフォルニア州ロサンゼルスを選んだ。
お客さんのノリ、場内に広がる雰囲気、テンションがロスと南部じゃかなり違う。とは言え、ロスとは実に
わかりやすい観戦候補地選びだ(笑)。2008年7月25日、サ・ウィルターンで観た。当時、新しいエナジー
ドリンクとして絶賛売出し中だったNO FEARがスポンサー/冠りについたthe NO FEAR music tourの
一環で行われた。

ザ・ウィルターンはロス界隈でとみに有名なライヴ会場だ。中規模クラスの会場で、そのキャパシティは
約2,000人。築80年以上の古い劇場型建物のなかにある。けっこう名を知られたアーティストたちがよく
出演する。最近じゃSOUNDGARDEN、COHEED AND CAMBRIAらが出演してる。ハリウッドからは車で
30分程度で、コリアンタウンの真隣にある。場内の規模もわりと大きく、広いにも関わらず、いわゆるオーケ
ストラピットがなく、ステージ前がいきなりスタンディングフロアになってる作りであることから、“ライヴ写真を
撮るカメラマン泣かせの会場”としても知られる。

このときは対面取材や、グループ/個人写真撮影の予定はなく、ライヴ観戦だけだった。だけどオープン前には
会場入りした。BFMVをはじめ、BTにも挨拶をしつつ近況を直接聞きたかったからだ。実は上記アーカンソーで
メンバーに会ったときはツアーバスやドレッシングルーム内はかなり大人しく、沈んだ空気/雰囲気すら感じた。
マット・タック(vo,g)がノドを患い、手術を受けた直後という過酷な状況にあったにもかかわらず、それを押しての
ツアー敢行だったのだから無理もない、致し方ない。が、しかし、このときは打って変わってジェイ(vo,b)、パッジ(g)、
ムース(ds)ははしゃいでた。こういうときもマットはcoolだ(笑)。「はい、1枚」とパシャリと撮った下の記念写真が
その“構図”を如実に物語ってるだろう(笑)。

「新作が初登場4位だったから各地での反応もすこぶるイイんじゃない?」と向けると、マットがこう言った。

「このツアーはこれまでのところスゴくうまくいってるよ。新曲の反応もイイんだ。今晩はここロサン
ゼルス。なかには手強い客もいるだろうけど、みんなをKOしてやるさ!」


この、マットの言う“手強い客”っていうのは、決してロスにだけじゃなく、アメリカ大陸の大都市、つまりニュー
ヨーク、シカゴ、サンフランシスコなどにも必ずいる。頭っから“完全大人観モード”で、スタンディングフロアの
後方も後方、客席内の壁に両腕を組みつつもたれかかり、楽しんでんのかそうじゃないのかよくわかんない人
たちのこと。彼らはアーティストがどういうプレイをしようが、MCでなにを言おうがもろにスルー、ピクリとも反応
しない。自分の経験上、こういう客が1番多いのがロスだと思う。そしてアーティストはこぞって、そういう客に対し
て「やりにくいよ。自分の演奏を楽しんでくれてんのかそうじゃないのか、サッパリわからないから。まるで監視
されてるような気分さ」と口を揃える。

そうした客も含め場内が5割埋まった夜7時半、オープナー
のCBが登場した。そのときの模様を、自分は2008年9月
30日発売のGrindHouse magazine Vol.50(写真右)掲載
のライヴリポートにこう書いてる。一部抜粋だ。

(パフォーマンスが予想してた以上に)よくて、1番手から
ステージに神経を集中させられた。徹底して激烈だけ
どロックンロール、サザンロック、ストーナーロック、
ハードコアと曲ごとにその表情は豊かに変わり、放た
れるノリやヴァイブもそれに合わせて移り変わっていく
という、独自性を持つことが感じ取れ、楽しめた。プレ
イもタイトで、披露曲8曲計30分のセットはアッと言う
間に終わった。観客の反応も上々だった。来年
(2009年)
正式日本デビューをするので、この名前は覚えてお
いてほしい」


CBのフロントマン、リアム・コーミアーは改めて言うまでも
なく、マットの別バンド、AXEWOUNDのヴォーカリストでも
ある。CBの過去2度の来日や、2バンドの作品群で、その
力量のほどは実証済みだ。CBとしても、まさに現場叩き上
げのバンドゆえライヴ体としてかなり強靭だ。手前味噌な
話ながら、CBの4作目『DEAD SET ON LIVING』(2012年)
は昨春、GrindHouse recordingsより発売している。ぜひ、
チェックしてほしいバンドだ。

続いて20分のセットチェンジ後の8時20分、今度はBTが
ステージに上がった。自分はライヴリポにこう書いてる。



「BTのライヴの幕が切って落とされた。スコット・ダノー(g)脱退を受けて迎えられた後任ジョナ・ウェ
インホフェン
(BT脱退後にブリング・ミー・ザ・ホライズンに参加するも離脱。現在は古巣であるアイ・キルド・
ザ・プロム・クイーンで活動)の本格的お披露目も兼ねてた。オープニングは前作『ザ・トゥルース』
(2005年)のド頭を飾り、ブランダン・シェパティ(vo)による「I don’t give a fuck!!」の雄叫びで始まる
“フォー・ラヴ・アンド・フェイリング”。その途端、フロアの観客が激しく動き出し、CBのときとは全然
違う空気が充満、テンションがグーンと上がった。アンプ類がすべて覆い隠され、バンドロゴが描か
れたバックドロップの下にドラムセット、そこからだいぶ右横にはキーボードがあり、ステージ前には
お立ち台が置かれた、シンプルなステージ。そこでブライアン・レプケ(g)、ジョナ、ライアン・ウォン
バッカー(b,vo)、デレク・ヤングスマ(ds)、マルタ・ピーターソン(key)、そしてブランダンが早くも気持ち
をひとつにし、まるでなにかに突き動かされてるかのように、ガンガン攻めつつたたみかかけてくる。
ものスゴいパワーと圧倒感だ。しょっぱなから身も心も持っていかれてしまった」


40分のセットがかなり凄まじかったことを今なお覚えてる。もう、ブランダンが強烈の極みだった。始終お立ち台
に上がりっぱなしで、こみ上げてくる怒りなどの感情を歌詞に乗せ、“豪声”で吐き出しながらフロア前方中央、
右側、そして左側を指さしつつ観客を煽りに煽ってた姿は、めちゃくちゃカッコよかった。観客たちもそんなブラン
ダンに応え、喰らいつきながらモッシュやクラウドサーフィンで応戦してた。そのBTのライヴがもう観られなくな
るのかと思うと、非常に寂しい。

BTのライヴですでに9割ほど埋まってた客席内は相当の熱気を帯びてた。そこでPANTERA、METALLICA、
SLAYERなどがBGMで立て続けにかかり、より熱さを増したことは言うまでもない。そのさなかの9時30分に、
BFMVの出番と相成った。

「突如客電が落ち場内が暗転、SEが流れ出した瞬間、場内いっぱいに大歓声が炸裂した。新作のUS
チャート初登場4位は、まったくもってダテじゃなく、その効果、影響は想像以上にデカく、この夜訪れた
みんなが、どれだけBFMVのライヴを心待ちにしていたかが一瞬にしてわかった。もうイイ意味で定番、
半ばお約束ごとだ、“スクリーム・エイム・ファイア”でBFMVは勢いよく駆った。ステージ中央にマシュー
“マット”タックが立ち、歌い、ギターをかきむしる。その真後ろの数段高いところ(ドラムライザーがかなり
高い)にマイケル“ムース”トーマスが構え、余裕の表情でビートをたたき出す。ステージに向かって右側
では、ジェイソン“ジェイ”ジェイムズがムースと呼吸を合わせつつベースを弾きまくり、ときに激烈スクリー
ムを噛ます。そして左側では、あまり表情を変えないマイケル“パッジ”パジェットが、あの粘っこいソロ
ワークを聴かせる。この4人が完全なる一枚岩状態になり、場内ほぼいっぱいの観客をグイグイと引っ張り、
さらなる高み、極みへと導いていく。5月の来日公演でのパフォーマンスもアッパレだったけど、この夜の
BFMVもノリにノリ、よりライヴのうまさに磨きをかけてた。
 とにかく観客の盛り上がり方が尋常ではなく、始終まるで“凱旋公演”のような光景が展開され、観客から
発せられる熱いものがそこらじゅうにみなぎってた。改めて断言するまでもないだろう、BFMVはUSメタル
バンドではない、れっきとしたUKメタルバンドだ。現存する若手のUKメタルバンドで、アメリカでここまで観
客を熱くさせ、ソノ気にさせられる存在は、間違いなくBFMVだけだ。そうした“突き抜けたところ”は最後まで
ブレず、萎まずのまま駆け抜けた」


75分弱のセットだった。大いに楽しめたし、BFMVのアメリカのメタルシーンにおける立ち位置もしっかりと見ることが
できたライヴだった。そして自分はこう、そのライヴリポを締めくくってる。

「LOUD PARKでのライヴが余計楽しみになってきた。BFMVはもっともっと最高のパフォーマンスをヤリ倒
してくれることだろう」


次回はLOUD PARK 08参戦でのBFMV史上初の1年で2度目の来日のときの話をお届けする。

次回に続く…(2013年2月14日更新予定)
photography by Micah Smith (Live)