2008年10月、LOUD PARK 08が開催され、BULLET FOR MY VALENTINE(BFMV)はその年2度目
の来日をはたした。

以前に比べれば、だいぶ洋楽アーティスト(いわゆる外タレ)は来日しやすい時代、状況、環境にはなって
きてるとは思う。が、しかし、その一方で、“外タレ”は我々にとってどこかでまだ“遠い存在”“高嶺の花”であ
るのもまた事実だ。それだけに余計、BFMVが1年に2度も来日した、という事実はエポックメイキングな出
来事でかなりテンションが上がったことを今もなおハッキリと憶えてる。KORNが4年ぶりの来日で2010年
から2011年にかけて1年と期間を空けずに2度立て続けにきたときも、またAVENGED SEVENFOLD(A7X)
がBFMVと同じく2008年に2度来日したときも同様にエキサイトしたものだ。

LOUD PARK 08出演陣は第1回開催時に勝るとも劣らない豪華なものだった。2日間開催でスリップノット、
モトリー・クルーがそれぞれのトリに据わったほか、ダウン、A7X、カーカス、メシュガー、アポカリプティカ、
エアボーン、HEAD PHONES PRESIDENT、バックチェリー、BFMV、マシーン・ヘッド、ブラック・タイドほか
と絢爛豪華な顔ぶれだった。また、開催直前にはスリップノット、マシーン・ヘッド、A7X、BFMVのエクストラ
ショウもあり、東京でのみA7X、BFMV共演によるスペシャルギグもあり、LOUD PARK 08開催前後は相当
“メタル熱”が高く、あちこちに蔓延してた。まさに“珠玉/極上のひととき”だった。

とは言え、お恥ずかしながらLOUD PARK 08出演時のBFMVのことをあまりよく覚えてないのだ。一昨日あた
りから思い出そう思い出そうとしてるのだけど、残念ながらおぼろげながらにしか浮かんでこない。その理由の
ひとつとしてまず挙げられるのが、その絢爛豪華な顔ぶれゆえ現場での対面取材、写真撮影の機会が多かっ
たため、ということ。こういうときあくまでも取材、撮影を最優先するのでライヴ観戦はどうしても二の次、三の次
のプライオリティとなってしまい、正直いくつか観られないアーティストも出てくる。確かBFMVは“チラ観レベル”
だったと思う。2011年開催時のときなんて、あまりにも取材、撮影が立て込んでて、LOUD PARK史上最少アー
ティスト観戦記録を打ち建てたほどだ(苦笑)。なんの自慢にもなりゃしないのだけど、頭っから最後までちゃんと
観られたのは1番手のオーガスト・バーンズ・レッドと、トリのリンプ・ビズキットだけだった。常に直面する“フェス
現場の悲しさ”だ。これは日本でだろうが、アメリカでだろうが、イギリスでだろうが変わらない、同じだ。そのとき
BFMVとの思い出が薄いもうひとつの理由として考えられるのは、自分が直接取材してない、ということ。たぶん
これが1番大きい要因だと思う。このとき自分がBFMVを取材しなかった理由はしごく簡単で、ちょいと取材内容や
感覚を変えたかったからだ。で、当時いた弊社スタッフの1人に取材相手や内容、そして撮影の方向性を一任した。
連載第9回に書いた、マット(vo,g)のに続く、パッジ(g,vo)とジェイ(vo,b)の“自己ファッション観”についてだ。ヘッダー
に使ってる2人の写真は、これまで未公表、未掲載写真の1枚だ。

取材はこういう切り出しから始まった。「黒Tに半パン、またはジーンズという格好は常に変わらずですね」と。
それに対し、2人はこう答えてる。

パッジ「そうだね。確かにいつもこの格好だね」
ジェイ「コレが一番ラクなんだ。すぐに着替えられるし、組み合わせを気にする必要もない。別に
    音楽に合わせてとかではなく、普段家にいるときでもこの格好で、Tシャツは常に黒。今後
    もそれは変わらないと思う」


その後、話はこう進んでいった。ステージ上でもその想いは変わらず?、という問いに対し、こうコメントしてる。

ジェイ「格好自体は変えないものの、さすがにライヴでは大量の汗をかくから、常にステージ用と
    普段着の2セットを用意し、ライヴ前後で着替えるようにしてる。ライヴ後、ステージで汗を
    かいたままの格好で握手やハグされてもイヤでしょ!(笑)? オレはだいたい1週間ぐらいで、
    そのセットすべてを交換するようにもしてるんだ」

パッジ「マジで?オレは2ヵ月間ずっと同じ“ステージウェア”だけど…」
ジェイ「ハハハ、人それぞれだけど、たぶん2週間ぐらいで替えるのが理想だと思うけど。半パンを
    履くことが多いのは実用性を重視した結果さ。タイトなジーンズだとステージですぐ蒸しちゃう
    し暑いから、風通しがよくて動きやすいこのスタイルに落ち着いた。オレはスケボーをやるけど、
    そのときもこの格好だよ」


(UKから出てきたバンドに半パン姿の人が多く、逆にアメリカのバンドはみんなジーンズ姿のような気がします)

ジェイ「そうだね。いつもアメリカのバンドを見ると、“暑そうだな~”って思うよ(笑)」
パッジ「なかにはステージ上と同じ格好のままだから臭いがキツい連中もいるしね(笑)」

(2人ともTシャツの袖を切ってますが、タトゥーをファッションの一部として見せるような感覚なんでしょうか?)

ジェイ「そのとおり!っていうのは冗談で、単に風通しをよくしたいからさ」

(Tシャツの袖を切る際のコツとは?)

パッジ「必ず縫い目の外側を切るってこと」
ジェイ「ハサミで丁寧に切るのではなく、上と下に切れ目
    を入れてから一気に引き裂くんだ。昔はよくメン
    バー同士で遊び感覚で引き裂き合ってたけど、
    時々勢いをつけすぎて脇の下まですべて引き裂
    いちゃうこともあった。そのコツを掴むまでに何枚
    か犠牲にしたよ(笑)」

パッジ「買ったばかりの真新しいTシャツの袖を切り裂く
    瞬間が最高に気持ちイイんだよ(笑)」


で、最後に、今日の互いの格好を見てどう思います?、と訊い
てる。すると…。

ジェイ「リストバンドも一緒だし、まるで自分のコピーみ
    たいだよな」

パッジ「似た格好なだけに、クールだと思うよ(笑)」

と2人が言ったところで、取材は終了してる。この取材記事
は2008年11月30日発売のGrindHouse magazine Vol.51
に“Their Outside & Inside”という連載枠に掲載した。右に
あるのが、その記事ページだ。またLOUD PARK 08のライヴ
リポートも同じ号に掲載してる。現場で取材、撮影が立て込
んでたことで、「この状態じゃ我々がライヴリポを書き、その
模様を漏れなく伝えるのは不可能に近い」との判断から、ライ
ターの渡辺清之氏に執筆を依頼した。BFMVのライヴについ
て渡辺氏はこう書いてる。



「BFMVが出る段になってもその熱気は冷めず
(註:その前に出たマシーン・ヘッドのライヴが凄
まじくて)、1曲目から大きなサークルピットが形
成された。結論から言えば、この日のBFMVの
ライヴはこれまでの来日公演のなかでもっとも
優れていた部類に入ると思われる。過去に指摘
されてきた生硬な演奏とパフォーマンスには向上
が見られた。もちろん、マシーン・ヘッドのような
死線を潜り抜けてきたバンドのパフォーマンスと
比べてしまうのはまだ酷だが、優れた楽曲が蓄え
られているという点にかけては引けを取るもので
はない。だからこそ、前方スペースのピットがほと
んど動きを止めることなく回り続け、みんなが肩を
組んでシンガロングできるのだろう。成長し続ける
BFMVの双肩にかかる期待は大きい」


左と下にあるのが、そのライヴリポだ。ここからしばらく
BFMVのメンバーに会ったり、取材したりの機会は遠の
くことになる。次は通算3枚目『FEVER』(2010年)発売
直前期にBFMVの地元ウェールズ地方カーディフで実
現する現地取材、写真撮影のときだった。

次回はこのときの話をお届けしよう。



次回に続く…(2013年2月18日更新予定)
photography by (C)LOUD PARK 08 All Rights Reserved.