『TEMPER TEMPER』発売記念 <RIOT IN TOKYO 2013> スペシャル・ギグがいよいよ今週
金曜日3月8日に迫った! 加えて、今夏サマソニへの参戦も決定し、先週アナウンスされたばかりだ。
BULLET FOR MY VALENTINE(BFMV)に対する期待、テンションは否応なしに上昇する!

でだ、連載前回に書いたBFMV、BRING ME THE HORIZON、CANCER BATS(CB)との夢の3バンド
共演ライヴは、2010年9月に東京と大阪で成功のうちに終了した。それから少し経った頃、日本の所属
レコード会社内で、次のBFMVの来日計画が進められてた。しごく簡単に言えば、それを“いつ、どこで、
どのくらいの規模”で実現させるかだ。そのときまず最初に語られたのが、「BFMVを武道館のステージに!」
だった。今なおアーティストが武道館公演を行う、イコール“檜舞台に立つ”というイメージが強い。洋楽・
邦楽問わずに、だ。それを実践するとアーティストが成功し、着実に“頂点”に向かってることを瞬間的に、
かつ広く印象づけられるし、言葉があまりよくないかもしれないけど“ハク”もつく。ここ10年ぐらいにデビュー
した数多のメタルバンド群において、こういったアーティストデベロップメントに関する話が、真剣にメジャー
レーベル内で話し合われたのは唯一、BFMVだけだ。こうしたみんなの目がいき届かないところでもBFMV
は凄みを持ち、そして放つ。残念ながらしばらくして矛先が変わり、大先輩格にあたるIRON MAIDENの
THE FINAL FRONTIER WOURLD TOUR 2011の一環での来日公演のサポートアクトで実現となり、
発表された。3月12日、13日の週末両日さいたまスーパーアリーナで行われる予定だった。が、しかし、
ご存知のとおり、東日本大震災の影響により急遽両日ともキャンセルとなった。マット・タック(vo,g)が
後日、そのときのことをこう回想した。現在配布中のGrindHouse magazine Vol.76、BFMV表紙号掲載
の記事と一部重複する。

「ライヴを演りにいったにもかかわらず1度もプレイしないでその国を離れざるを得なかったって
いうのは、まさに初めての経験だった。地震発生時ちょうど飛行機で着陸する直前だったんだ
けど、機長がそのまま強行するのは不可能と判断したため、急遽着陸地を変更した。後に入国も
許されないということもわかり、オレたちは台湾の台北へと変更し、降り立った。日本じゃ何万とい
う人たちが直面した危機を考えると、とても悲しいことだったけど、ありがたいことにと言うべきか、
オレたちはその危機を回避できたことに感謝してる。クルーたちはオーストラリアから一足先に日
本へ入ってた。とても心配だったし、その夜ホテルの一室でTVの報道でなにが起ったかを知り、
混乱し、恐怖を味わった。それでも事態が把握できず、TVで恐ろしい状況を観続けるしかなかった。
実際にこの地震を体験した日本の人たちのことを思えば、ライヴのひとつやふたつがキャンセル
になったことなど、オレの人生のなかじゃとるに足らないことだ。震災で亡くなられた多くの日本の
人たちに、心からお悔やみを申し上げたい」


余談だけどメイデンの来日公演にはBFMVのほかにもう1組、RISE TO REMAIN(RTR)が1番手として
出演することになってて、地震発生時にはすでに入国してた。
当時RTRの一員で、現在FUNERAL FOR A FRIENDに在籍するパット・ランディ(ds)が今年1月の来日
時にそのときの恐怖体験を真剣な面持ちで、こう語った。

「地震発生時、オレたちは全員ホテルの部屋にいたんだ。突然大きく建物が揺れ出して、慌て、
混乱し、どうしてイイかわからなかった。初めての経験だったからもう怖くて怖くて仕方なかった。
そして、その夜TVを観て、なにが起こったのかを知ったんだ。身も凍る想いだった。たくさんの人
たちが亡くなられたんだよね。本当に可哀想に…」


3枚目『FEVER』(2010年)発売後2度目の来日公演はそうして“幻”と化し、違う形態でのリスケジュールも
されなかった。『FEVER』発売からのタイムライン的に見てもこの先BFMVとしての稼働が難しかったから
だろう。その結果、『FEVER』発売に伴う来日公演は1度のみに留まった。

それからBFMVとしての大きな動きが伝えられることはなかった。で、2012年が明け数ヵ月してから聞こえ
てきたのは、マットが別バンド、AXEWOUNDを始動させた、ということだった。この一報には少なからず驚い
たし、と同時に意外でもあった。それまでに幾度もマットを取材し、BFMVに対する強い想いや、大きな愛情
を何度も何度も直接聞いてきて、「マットは間違いなく、ゲスト参加などはあるにしても、バンドは終身BFMV
の1本だけでいくだろう」と勝手に思い込んでいたからだ。マットが始動動機をこう語った。

「別バンドをやる、っていうことにずっと前から興味はあったんだ。ただ、本業(BFMV)がとてもう
まくいってたから、それをやる時間を捻出するのが難しかった。BFMVが人生そのものみたいに
なってる時期に別バンドに時間を割き、費やすわけにはいかないから。たまたまなにもない時間
がポッとできたから“今やろう!”っていう感じだった。ホントに“今やらないでどうすんだ?”みたい
な感じだった(笑)。BFMVはそんなにオフがないからさ。
『フィーヴァー』の一連のサイクル(発売⇒ツアー)が終わってから2ヵ月だけオフができたんだ。
この間にやらなかったら…3ヵ月後にはBFMVの次作(『テンパー・テンパー』)の制作に入ること
になってたから、このタイミングしかなかった。
それですぐジェイソン(・ボールド/ds:KILLING JOKE~PITCHSHIFTERほか)たちに連絡をとり、招
集をかけ、スタジオに入って11日間くらいで作品を作り上げたんだ。極めて自然発生的なプロセ
スだったんだよ」


このAXEWOUND、バンド名にはこんな意味がある。このときの電話取材でのマットとのやり取りはこうだ。


―― (「斧 (axe)」と「傷 (wound)」で)なんか痛そうな名前だね(笑)。『ヴァルチャーズ』のジャケには鷲が
    大きく描かれ、AXEWOUNDと描かれた旗のようなものを口ばしで引っ張ってるし…。

「(笑)。バンド名はジョークみたいなもんでさ。イギリスじゃダブルミーニングなんだ。
アックスワウンドっていう言葉には超メタルな響きがあるけど、イギリスではスラングで女性のア
ソコを意味するんだ(笑)」


――ぇっ!?(笑)

「(笑)。最初はジョークみたいにつけた名前だったんだ。だけど、いろんな人にバンド名がこうなり
そうだって話をしてこの単語を口にしたら、なんだかしっくりきたんだよね。シリアスなバンド名じゃ
ないし、笑いを取りたいというのもあったし。メタルっぽい響きでなおかつ卑猥な、ダブルミーニング
の言葉というのが気に入ってね。オレたちにはピッタリさ(笑)」


――だけどライヴで「オレたちアックスワウンドだ!」て言ったら微妙なリアクションが返ってくんじゃない?(笑)

「最初は確かにそうだったけど、今はもうそんなこともなくなったよ(笑)。バンド名を発表したときは
“アックスワウンドだって? なにを意味すんのかわかってんのか?”っていう反応だったけど(笑)。
わかってるに決まってるって(笑)。今はれっきとしたメタルバンドの名前という受け止め方をされてる。
イイことさ。コメディ的な意味合いが確実になくなってるもの。確かにヘンなネーミングだけど、今
じゃパワフルな存在感のあるバンド名になってるよ」


先にマットが挙げたジェイソンにCBのリアム・コーミアー(vo)、GLAMOUR OF THE KILLのマイク・キングス
ウッド(g)、元RISE TO REMAINのジョー・コップカット(b)が集ったのが、この“プチスーパーバンド”の様相を
呈すAXEWOUNDであり、その5人で制作したのがデビュー作『VULTURES』だ。2012年10月に発売された。
マットがAXEWOUNDでこだわり、やりたかったのがマット流のブルータルなサウンド、そしてリードヴォーカル
をとる比率を極端に少なくすることでBFMVとの差別化を図る、ということだった。そして『VULTURES』は、ま
さにそのとおりの作品に仕上がった。マット主導・先導による別バンドでもなく、またマットとリアムの合体プロ
ジェクトでもなく、しっかり独自のアイデンティティを際立たせた、まさにAXEWOUNDの音楽、作風が大いに
満喫できる。

「曲はオレとジェイソンが90~95%ぐらい書き、それにリアムが歌を乗せてるから、あくまでもアックス
ワウンドとして、っていう意味合いは大きいよ。パフォーマーとして、オレがリードをとっちゃ意味がない
んだ。特にリードヴォーカルをやるのはね。オレが歌ったらBFMVみたいになっちゃうから。それじゃや
る意味がなくなる。BFMVパート2になっちゃうよ。今回はフロントマンをやりたくないっていうことに強い
こだわりがあった。アックスワウンドを“マット・タック&ヒズ・フレンズ”じゃない、それでいてバンド然と
したものにするっていうのは意識してやったことさ。楽しく、かつもっとブルータルでアグレッシヴな音
楽を演りたかったんだ。だけどBFMVには妥協したくなかったんで、アックスワウンドてこういうことを
やったんだ」


ご存知のとおり、AXEWOUNDは昨年何度かライヴを演ってる。マットはAXEWOUNDでの来日の可能性につ
いて、「いずれなんとか日本にいけたらとは思ってるけど、ほかのメンバーも忙しいからスケジュールを合わせる
のが大変なんだ」と言う。こう言われれば、AXEWOUNDのライヴを余計観たくなるっていうのが、ファン心理とい
うものだ。自分はかなり真剣に観たいのだけど…。


次回に続く…(2013年3月6日更新予定)