2008年1月に発売された『SCREAM AIM FIRE』
は予想どおり、世界各国のチャート上位を勢いよく
滑走した。本国イギリス、そしてアメリカやドイツ
などの8ヵ国でトップ5内に飛び込み、なんと日本
のオリコン洋楽アルバムチャートじゃ初登場1位を
マークしたほどだった。そうした“BULLET FOR
MY VALENTINE気運/景気”がさらなる高まりを
見せるなか、BFMVは同年2月29日にUS中西部
コロラド州デンバーからキックオフされたTaste Of
Chaos Tour 2008(以下TOCT)に参戦。約2ヵ月間
にわたって40都市を巡演することで、よりアメリカ
における知名度と注目度を強めることに成功した。
TOCTは真夏の可動式大型パンクロックの祭典と
していち時代を築き、パンクロック・ムーヴメント隆
盛を牽引するなど大貢献したWARPed Tourの
仕掛け人ケヴィン・ライマンと、当時THE USEDなど
が所属してたFreeze Managementのトップ、
ジョシュ・フリーズが共同プロデュースした新型の
パッケージツアーだった。その頃の時代的ロック
トレンドや出演陣の顔ぶれから、わりとスクリーモ/
ポストハードコア色の強いツアーとの印象を与えた。
ただ、2008年の第4回は例年とは若干趣を変え、
メタル色が持ち込まれたほか、MUCCとD'espairsRayの日本勢も出演した。
メインステージ(2ステージ制)のトリに据わったのが
AVENGED SEVENFOLD(以下A7X)で、
コ・ヘッドラインがATREYU、そしてその前が
BFMVだった(ほかにBLESSTHEFALLなど)。

2008年5月にBFMVの4度目の来日が決まってた。
一足先に最新ライヴを観て、来日前に速報を届け
たい、という想いは確かにあった。だけどそれ以上
にそのツアーが観たかったし(第1回から皆勤賞
だった:笑)、「A7XとBFMVが一緒に巡演してる
わけだからWマットの対談なんてあり!?」とピンと
きたりもした。こうなるともう、いかない理由なんて
なくなるわけで(笑)、公演地を4月10日のカリフォル
ニア州ロングビーチに決め、ライヴ観戦や写真撮影
のために必要なものの申請を進めつつ、並行して
2つのレコード会社を通じてWマットの対談ができる
か否かの可能性を探った。結局、離日する前まで
にはWマットの対談ができるかどうかの結論は出な
かった。まぁ、いつものことだ(苦笑)。で、事が動い
たのは公演前日の9日、カリフォルニア州サンディエ
ゴのクラブ、ハウス・オブ・ブルースで、MINISTRY
の解散ツアー(現在再結成中)、C-U-LaTour(see
you laterをもじった言葉遊び)の初日公演(なんと
サポートアクトのひとつがMESHUGGAHだった)を
観てる真っ最中のことだった。日本のレコード会社
のひとつからの電話で、こう伝えられた。





「明日のロングビーチ公演で、A7Xはライヴ映像の収録を予定してるため、ステージに上がる前、マットはノドのコン
ディションを大切にするため取材は受けない、との連絡がありました。あとは現場でツアマネ(ツアーマネージャー)
に直接交渉していただき、終演後に実現可能かどうかに賭けていただくしか…」

電話を切った途端、「また現処理(現場処理)かよ」と口を突いた。M.シャドウズことマット・サンダース(vo)がノドを大事
にするためライヴ前に取材を受けないのは紛れもない事実だ。そのときより前にA7Xは2度来日しててマットに対面取材
してるのだけど、いずれもライヴ前日だったり翌日だったりしたので、ライヴ当日には、というのを知ったのがそのときが
初めてだった。マットのことはともかくとして、欧米をツアー中のバンドを追っかけ、現地取材&写真撮影をする場合、7割
以上の確率で現処理でできるか否かが決まる。離日前は取材OKと言われたのに、いざ現場にいきツアマネに接触した
ら話がひっくり返ってて取材不可に、なんていう経験を過去何度もしてるし、いつの間にやら取材希望相手がほかの
メンバーにすり替わってたなんてことも決して珍しくない。ただ、このときは相手がA7Xであり、かつライヴ映像の収録を
するというなにかとメンバーがピリピリすることが予測できたので正直「んー、ハードル高そ。対談は難しいかも」と思った。

ライヴ当日、予定よりいくぶん早く会場のロングビーチアリーナに入った。まず、BFMVのツアマネに会い、状況を説明
しつつA7X終演後にWマットの対談をお願いしたい、と申し出た。するとツアマネは「できれば終演後でもイイけど、予定
じゃA7Xが始まる前にオレたちは次の公演地に出発するよ」と言われ、まさに「ガーーーンッ!!」となった次第だ(苦笑)。
「わかった、後でまた話をさせて」とツアマネに言い残し、1度楽屋口から外に出、ふぅと溜息をつきつつ「さ、どうしよ」と
策を頭んなかで張り巡らそうとした。まぁ得策なんてはなっからないので(笑)、改めて楽屋裏に戻り、ツアマネに「Wマット
のツーショット写真の撮影をBFMVのライヴ前に、そしてA7X終演後になんとか対談を。このために日本からきたんだ」と
再度お願いをした。するとツアマネは「OK、後で連絡するよ」と言った。その後何度かあのダダッ広い楽屋裏をうろうろし
てると偶然、ジェイ(vo,b)やパッジ(g,vo)やムース(ds)に出くわした。そのたびに再会を喜び合いつつ「毎晩A7Xを観ないで
会場を後にし、次の公演地に向かうんだって?」と向けると、みなだいたい「そういうスケジュールになってるのは事実だ
けど、ほとんどそうしたことなんてないよ。A7Xのライヴも観るし、終演後にはどっちかのツアーバスでパーティしたりする
から」と言って笑った。言うまでもない、「もしかしたらイケるかも」と思わされた瞬間だった。

それから1、2時間してから先のツアマネから「BFMVの出番の前に写真撮影ができるよ」との連絡が入った。「ただ、対談
の件は今はまだなんとも言えない。もう少し待って」と。彼がA7Xのツアマネに話をつけてくれてるのだ。その後しばらくして
開場時間を迎え、たくさんのお客さんたちが場内へとなだれ込んだ。そして開演時間を迎え、2ndステージのオープナー、
IDIOT PILOTのパフォーマンスが始まった。いつツアマネから連絡がくるかわからないため携帯電話を右手に握りしめなが
らの“チラ観”が精一杯で、もっとちゃんと観たいという想いは当然あったものの、それを実行に移す余裕はほぼなかった。
そしてメインステージ出演組のMUCCの出番になる頃に改めてツアマネから連絡があり「今から10分後に写真撮影を」と
言われ、指定された部屋にカメラマンを連れ立って向かった。部屋にはすでにBFMVのマット(vo,g)が待機してくれてた。
再会の挨拶をしていると、そこにA7Xのマットが現れた。笑顔で握手を交わすも口の前に指で“×印”を作り、ウィンクをし、
すまなそうな表情を浮かべた。「ゴメン、ライヴ前だから今声が出せないんだ」の意味だ。写真撮影はものの5分で終了した。
それから少ししてBFMVのマットはステージに上がり、熱演を繰り広げた。そしてATREYUを経て、今度はもう1人のマットが
A7Xを大炸裂させた。当時の弊誌スタッフは両バンドのパフォーマンスをこうリポートした。

新作タイトル曲の“スクリーム・エイム・ファイア”でプレイし始めると、瞬間的にフロアが弾け、巨大サークルモッ
シュが出現。巨漢の猛者が続々とフロア中央になだれ込み、ライヴの醍醐味とも言える危険な空気が充満する。
BFMVもそんな光景を楽しむかのごとく、ハイテンションでパフォーマンスを続け、一気に会場全体をヒートアップ
させた。BFMVのライヴを何度も観てきたが、4人の一糸乱れぬタイトな演奏はいつ観ても見事だ。新作が全米4位
に輝いただけに、異国の地であろうとも臆するところは一切ない。貫録ある立ち姿で観客を虜にし、強烈なサウンド
で思いっ切り突き上げる姿にはなんとも言えぬ頼もしさがあった。
(中略)

ラストはお待ちかねのA7X。BGMで“ディア・ゴッド”を流し、続けてステージ上部のスクリーンにバックステージで
のお遊び映像を映し出す心にくい演出で観客を煽るも、「10分後にステージで会おう」の一言を残してカウントダ
ウンが点滅。長めのセットチェンジに少々シビれを切らしていただけに、これには思わずズッコケさせられた。
結局、きっちり10分経ったあと、“クリティカル・アクレーム”のイントロのパイプオルガンの調べが響きわたり、やっと
ライヴがスタート。長丁場による疲労と待ち疲れもあったのだが、それを完全に吹き飛ばし、さらなる活力も生む
魅力がA7Xのライヴにはあった。ステージ上部のスクリーンで常に曲に合わせた映像を流しつつ、巨大パイロや
花火に紙吹雪、そして“スクリーム”では水着の女性ダンサーも登場するなど、豪華な演出をバックに悠然とした
プレイで、まさにスタジアム級のライヴを展開した。
(以下略)



BFMVのライヴが終了した頃、A7X終演後にWマット
の対談が実現することが、ツアマネより告げられた。
もう、めちゃくちゃ嬉しかった。「ついに!」と心んなかで
ガッツポーズをとったほどだった(笑)。対談時の話は
次回更新でする。TOCTのライヴリポートと、Wマット
の対談記事はともにGrindHouse magazine Vol.48
に掲載した。また、上記したA7Xのライヴ映像は、後の
2008年9月にDVD/CD『ライヴ・アンド・レア』(原題『LIVE
IN THE LBC & DIAMONDS IN THE ROUGH』)として
発売された。


















次回に続く…(2013年2月6日更新予定)